おはCOT❣️ 柚の子です。

同じ年の同じ資料に「3兆8,407億円」と「4,662億円」が並んでいたら、どちらを見ればいいのか迷いませんか?

一般社団法人日本動画協会が2025年10月30日に公表した、2024年のアニメ市場の速報値です。

大きいほうはアニメ産業市場、小さいほうはアニメ業界市場。8倍以上も違うのは、測っている対象が別々だからです。

「アニメ市場」は2つある

協会は市場を2つに分けて定義しています。

  • アニメ産業市場:ユーザーが支払った金額を推定した広義の市場。2024年は3兆8,407億円(前年比114.8%)
  • アニメ業界市場:商業アニメ制作企業の売上を推定した狭義の市場。2024年は4,662億円(前年比109.1%)
区分2024年前年比
アニメ産業市場(広義)3兆8,407億円114.8%
うち国内1兆6,705億円102.8%
うち海外2兆1,702億円126.0%
アニメ業界市場(狭義)4,662億円109.1%

出典は協会のプレスリリースです。

産業市場は、視聴以外の支出も含みます。グッズ、配信、イベント、映画館など、ユーザーがアニメ関連にお金を払った額を足し上げたものです。

業界市場は制作会社の売上なので、配信事業者の収益や小売の売上は含まれません。同じ「アニメ」という言葉でも、お金を数えている場所がここまで違うんですね(どちらを見ているのかで、記事の結論が変わってしまいます)。

2つの市場を並べると、こうなります。

2024年のアニメ市場の速報値を2つに分けた図。アニメ産業市場(広義)はユーザーが支払った金額の推定で3兆8,407億円、前年比114.8%。うち国内1兆6,705億円(102.8%)、海外2兆1,702億円(126.0%)。アニメ業界市場(狭義)は商業アニメ制作企業の売上の推定で4,662億円、前年比109.1%。配信事業者の収益や小売の売上は含まない。金額の長さを横棒で比べている。出典は日本動画協会のプレスリリース。

伸びを引っ張ったのは海外

2024年の産業市場は3兆8,407億円で、前年比114.8%。市場の最高値を更新しました。

増加率としても、2019年の115.3%に次いで2番目です。

伸びの中心は海外です。海外市場は2兆1,702億円で前年比126.0%、国内市場は1兆6,705億円で前年比102.8%。海外市場は、金額でも国内市場を上回っています。

協会は、産業市場の拡大には国内市場も貢献しているとしたうえで、海外市場の貢献が圧倒的に大きいと説明しています。

業界市場は4,662億円で前年比109.1%と増え、こちらも最高値を更新しました。伸び率でいうと、産業市場の国内(102.8%)は上回りますが、海外を含めた産業市場全体(114.8%)には届きません。

制作会社の売上と、ユーザーが払ったお金の総額。同じ速さでは動いていないんですね。

数値を引用するときの注意

  • 速報値です。レポートの刊行に先立って公表されたもので、確定値ではありません
  • 対象は2024年の実績です。2025年の数値ではありません
  • 「アニメ産業市場」と「アニメ業界市場」は別の指標です。どちらを引用したかを明示してください
  • アニメ産業市場に比べると海外市場の割合は小さいものの、過去からの推移では割合は増加し続けています

数字は、引用のしかたで意味が変わります。独り歩きすると、あとから訂正が必要になります(こわいところです)。

レポート本体について

刊行の案内では、発行は2025年12月上旬、A4判で本文約120ページ、折込図表4面、価格は22,000円(税込)。執筆は大学教員、ジャーナリスト、アナリストらが担当するとされていました。

協会は2009年からこのレポートを毎年刊行していて、産業データのページで刊行物を案内しています。

数値を使うときは、協会のページとレポート本体のどちらを確認したのかを書いておくと、読者が同じ数字をたどれます。

この記事について

この記事は、協会のプレスリリースに載っている速報値をもとにまとめました。確定値はレポート本体で確認してください。

それでは、また次のCOTで❣️