おはCOT❣️ 柚の子です。

暗号資産を送ろうとしたら、受け取る人の名前や送る目的を聞かれて、ちょっと身構えたことはありませんか?

それが「トラベルルール」と呼ばれる仕組みです。日本暗号資産等取引業協会(JVCEA)の説明では、トラベルルールは、利用者に頼まれて暗号資産を送る事業者が、送る人と受け取る人についての決まった情報を、受け取る側の事業者に通知しなければならないというルールです。

金融庁の資料によると、法律としては2023年6月1日から施行されています。目的は、暗号資産の取引の経路を追えるようにすることです。

もとはマネーロンダリング対策の国際基準

JVCEAによると、トラベルルールは、FATF(金融活動作業部会)がマネーロンダリングとテロ資金供与の対策として、各国の当局に導入を求めている基準です。テロリストや犯罪者がお金を電子的に自由に動かすのを防ぎ、不正に使われたときに追跡できるようにする、というのが目的だそうです。

JVCEAの説明では、日本はFATFの第4次対日相互審査で、電信送金(為替取引)だけでなく暗号資産の移転もこのルールの対象にするよう指摘されていました。

名前は旅行っぽいのに、中身はかなりまじめな仕組みなんですね(名前だけ聞くと、旅行の持ち物ルールかと思ってしまいます)。

日本ではいつから始まったか

始まりは2段階です。まずJVCEAが、金融庁の要請を受けて、法律より先に協会の自主規制規則でトラベルルールを導入しました。2022年4月1日からです。

この時期は経過措置があり、通知の対象は、本人あてで、国内の交換業者に、ビットコインかイーサリアムを、10万円相当を超えて送る場合に限られていました。

2022年10月1日からは、受け取る人の住所に関する情報と、送る目的などの情報も確認されるようになりました。JVCEAの周知によると、住所の情報は国と地域(州や都道府県)が基本です。

法律では、2022年12月に改正された犯罪収益移転防止法で、暗号資産の移転に通知義務を課す規定が整えられました。金融庁によると、関係する政令などとあわせて2023年6月1日から施行されています。

警察庁の犯罪収益移転防止法の概要にも、暗号資産交換業者が暗号資産を移転するときに、顧客と移転の相手方に関する情報を通知しなければならない、と載っています。

事業者の間で何が通知されるか

金融庁の説明資料によると、送る側の事業者から受け取る側の事業者へ、次の情報が通知されます。

  • 送る人:氏名、住居か顧客識別番号、ブロックチェーンのアドレス
  • 受け取る人:氏名、ブロックチェーンのアドレス
  • 法人の場合:氏名の代わりに名称、住居の代わりに本店などの所在地

流れを図にすると、こうなります。

トラベルルールの仕組みの図(金融庁・JVCEAの資料より)。送る人が送る側の事業者に送付を頼み(受け取る人の氏名や送る目的などを聞かれる)、送る側の事業者が受け取る側の事業者へ暗号資産を移転し、あわせて情報を通知する。受け取る側の事業者から受け取る人へ。通知する情報は、送る人の氏名、住居か顧客識別番号、ブロックチェーンのアドレスと、受け取る人の氏名、ブロックチェーンのアドレス。通知した内容と受けた内容は事業者が記録・保存する。自分で管理するウォレット(アンホステッド・ウォレット)へ送るときは事業者どうしの通知の対象外で、代わりに交換業者が持ち主の情報を集めて記録する。

アドレスは、アドレスそのものか、アドレスを特定できる番号でもよいとされています。通知した内容と通知を受けた内容は、事業者に記録と保存の義務があります。

対象は国内の事業者と外国の事業者への移転で、金額や暗号資産の種類にかかわらず、すべての移転が対象です。

日本と同じような通知の規制がない国や地域への移転は、対象から外されています。金融庁が2026年7月に公表した告示の改正では、それまでの58の法域に5つが加わり、8月3日から適用されています。

送る人の側で起きること

JVCEAの利用者向けの周知では、交換業者に暗号資産の送付を頼むと、受け取る人の氏名、受け取る側の交換業者があるかどうか、あればその名前の申告を求められる、と説明しています。送る目的は、たとえば交換業者のサービスの利用、国内の商品代金、相続や生活費の贈与、といった選択肢から選ぶ例が示されています。

2022年に始まった自主規制の説明では、通知の対象になる送付で利用者が通知に同意しない場合、交換業者はその送付を行えない、とされています。

また2023年のお知らせで、JVCEAは、どの事業者に通知できるかは交換業者ごとに違うので、各社のお知らせを確認するよう求めています。

送る前に、使っている交換業者の案内を読むのが近道です(ここを飛ばすと、送る画面で手が止まりそうです)。

自分で管理するウォレットに送るとき

利用者が自分で管理するウォレットは「アンホステッド・ウォレット」と呼ばれます。事業者が管理していないウォレット、という意味です。JVCEAによると、アンホステッド・ウォレットや無登録業者のウォレットなどへの移転は、事業者どうしの通知の対象になりません。

その代わり、金融庁の資料では、交換業者は相手のアンホステッド・ウォレットなどの持ち主の情報(氏名やアドレスなど)を集めて記録し、属性を調べてマネーロンダリングのリスクを評価するよう求められています。自分のウォレットに送る場合も、持ち主について聞かれることがある、ということです。

この記事について

この記事は、金融庁の報道発表と説明資料、日本暗号資産等取引業協会の利用者向けのお知らせ、警察庁の犯罪収益移転防止法の概要をもとにまとめました。対象になる国や地域は告示の改正で変わり、通知できる相手先や聞かれる項目は交換業者ごとに違います。送る前に、金融庁の最新の資料と、使っている交換業者の案内を確認してください。

この記事は暗号資産の売買を勧めるものではありません。個別の取引や法律の判断は、交換業者の窓口や専門家に確認してください。

それでは、また次のCOTで❣️