おはCOT❣️ 柚の子です。
円建てのステーブルコインを3つのメガバンクが共同で発行する実証が終わったのを、知っていましたか?
10月16日、みずほ銀行、三菱UFJ銀行、三井住友銀行の3メガバンクと、三菱UFJ信託銀行、TISIの5社が発表しました。複数の銀行が共同で発行するステーブルコインと、それを使ったクロスボーダー決済(国際間の決済)の実証実験を実施した、という内容です。
実証が行われたのは、2026年7月17日から7月23日までの1週間です。三菱商事の日本拠点と海外拠点の間の決済を想定して、ステーブルコインの発行から移転、償還までの一連の流れを確かめました。
(3つの銀行が1つのコインを共同で発行する、という発想がまず面白いです)
実証で確かめたこと
この実証は、2025年11月に金融庁の「Fintech実証実験ハブ・決済高度化プロジェクト(PIP)」の支援案件として採択された取り組みに基づくものです。金融庁は2025年11月7日にPIPを立ち上げていて、この共同発行の取り組みがその初の支援案件になりました。
ステーブルコインは、3行を共同委託者、三菱UFJ信託銀行を受託者とする信託契約に基づき、資金決済法第2条第9項に規定する「特定信託受益権」として発行されました。
検証の主な観点は、次のとおりです。
- 複数の銀行が委託者になる場合の運営方法
- さまざまなユースケースを想定したマネーロンダリング・テロ資金供与対策(AML/CFT)
- システムの有効性
発行システムとウォレットのインフラはTISIが担い、三井住友銀行がTISIに委託して構築したブロックチェーン基盤を、実証に参加した各社へ提供したそうです。
結果について5社は、ステーブルコインの発行・流通に関する実務的な知見が得られ、システムの安全性と信頼性、複数銀行による共同発行モデルの実現性を確認できたとしています。
信託型のステーブルコインとは
今回発行されたのは「信託型」と呼ばれる方式のステーブルコインです。金融庁が2025年の資金決済法の改正のときに公表した説明資料では、信託型の仕組みは、信託銀行が発行の主体となって、発行額に相当する裏付け資産(信託財産)を保有し、法定通貨と連動する価値を持ち、額面(円建てなら1コイン=1円)で償還されるもの、と図で説明されています。
5社の発表では、この方式の特徴をこう説明しています。
- 流通性・利便性:複数銀行の共同発行で、各社の顧客基盤に基づく広い流通範囲を確保。大規模な流通を見据えて、流通上限額のない信託型発行スキームを採用
- 安全性・信頼性:コインの価値の安定性を重視し、信託財産を銀行預金で運用・管理。銀行での本人確認等を経た信頼できる利用者間で流通
(「信託」という言葉は堅いですが、コインの裏付けになるお金を信託銀行が守ってくれる、という仕組みなんですね)
ステーブルコインは、金融庁の資料でも「いわゆるステーブルコイン(電子決済手段)」と書かれていて、ビットコインなどの「暗号資産」とは法律上の扱いが分かれています。金融庁の資料では、暗号資産の規制は資金決済法から金融商品取引法へ移管される一方、ステーブルコインは資金決済法に残る形です。この違いは、日本円ステーブルコインJPYCの基本:「電子決済手段」という位置づけと、暗号資産との違いにまとめています。
これからの予定
3行は2026年6月10日、共同発行するステーブルコインについて、2026年度中の実取引の開始をめざす方針と、運営やガバナンスを検討する協議会の設置に向けた基本合意を公表しています。今回の実証は、その前段にあたる検証でした。
実用化に向けて想定している設計は、預金を裏付け資産とし、銀行での本人確認等を経た利用者間での流通を前提としたもの。決済・送金の需要に応えることを主眼に置くとしています。ただし、これは現時点での想定で、今後変更になる可能性があるそうです。

金融機関各社はほかにも、ブロックチェーンとデジタルマネーを使った伝統的資産の取引と権利移転の実証(2026年2月13日公表)や、貿易プラットフォーム「TradeWaltz」を使った貿易決済の実証(2026年9月29日公表)に取り組んでいます。預金や他の金融資産のオンチェーン化も含めて、オンチェーン金融の社会実装をめざすとしています。
(国際送金が速くなるのは、海外のイベントに行く人にも関係してくる話かもしれません)
この記事について
この記事は、2026年10月16日の5社の発表と、2026年6月10日の3行の発表、金融庁の公表資料をもとにまとめました。数字と日付は、各発表と金融庁の資料で確認しています。
実取引の開始時期や設計は、今後の検討で変わることがあります。最新の情報は、各行と金融庁のお知らせを確認してください。
この記事は、ステーブルコインや暗号資産の利用・売買を勧めるものではありません。発表された内容と計画を整理したものです。
それでは、また次のCOTで❣️

